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次の政権交代への準備――新潟参院選で生まれたひとつの可能性

前回の投稿が2018年8月ですから、なんと、1年以上、ブログの更新ができませんでした。

年々忙しさが増す中、Facebook や Twitter で発信するのがせいぜいで、ゆっくり自宅のPCの前で、つれづれなるままに文章をつづる余裕と勤勉さがなかったわけです。この間、論文やエッセイ、インタビュー記事、講演など、本当にたくさんこなしたのですが、やった後にそれをまとめることもできませんでした。

――<文明>の新しいかたちを求めて。―― しかしこの1年間も、このテーマでいろいろと考えてきました。

私が仲間と共に進めている「おらってにいがた市民エネルギー協議会」は、最近、念願の小水力発電にも挑戦しようとしています。また、「東アジア自然エネルギー共同体」構想も浮上しています。これらのテーマは私にとって最重要課題なのですが、また目途が立ったころに改めて論述したいと思います。今年一番大きかったできごとは、参議院選挙で再び「市民と野党統一候補」(打越さく良さん)の擁立を実現し、勝利できたことです。そしてさらに重要なのは、その際、市民連合@新潟がハブとなって、連合から共産党に至るまでのすべての立憲野党勢力が合意した「共通政策」をつくりあげることができたということです。

東京の市民連合では、13項目に渡って5野党すべてが合意したのですが、新潟はそれよりももっと踏み込んだ詳細な内容の政策をつくることができました。下に貼り付けておきます。

安倍政権は、「他に選択肢が見当たらない」という理由だけで、桂太郎内閣を抜いて憲政史上最長の政権になろうとしています。「野党がだらしない」というセリフも、もう聞き飽きるほど聞きました。ひたすら「党勢拡大」を優先させる今の野党のリーダーたちに任せておいて、政権交代のための一致協力した一大政治勢力が生み出される気もしません。

「次にどんな日本にしたいのか…。」今はそれを市民レベルでしっかり考えていく時代を迎えていると思います。

政党組織ではなく、日本中の市民から「共通政策」を構築していく。今回の新潟の共通政策は、そのほんのきっかけに寄与することができればと願っています。

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真に豊かな生活をとりもどす。――新潟の輝く未来のために

私は、これまでの弁護士活動を通じて、DV被害者や児童虐待の現実を目の当たりにしてきました。社会の矛盾は常に、もっとも弱い人たちに襲いかかります。虐待されながらも、親との思い出を大切に心にしまって何とか生き延びようとする子どもたちや、社会の片隅で声を出せずにいる無数の人たちを支援する中で、次第に私は、そういった社会のはざまに集中する暴力が、貧困や格差など、より大きな社会の歪みに起因することに気がつきました。

一方で、使い切れないお金を手にした富裕層や、空前の利益を得ているグローバル企業、膨大な食品ロスや廃棄物を出しながら安さばかりを求める消費都市が存在します。「競争」や「自己責任」の掛け声だけが響き渡り、「今だけ、カネだけ、自分だけ」の軽薄な気風が社会の一端を支配しつつあります。

他方で、人口が減って希望を持てない地方や、衰退の続く農村の実情はどうでしょう。体を引きずるように働き、爪に火を灯すような生活をしても、明日が見えない人たち。学費が工面できず進学をあきらめる者。無秩序な競争の中で原価に利益を乗せることさえ許されない製造業者。後継者探しさえままならない中小企業や農家の人々。政府の「地方創生」の掛け声は、ここ新潟でも空しく響きます。

これまで、〈中央〉や一部の権力者だけが優遇される政治があまりにも長く続き、置きざりになった〈地方〉や弱い立場の人々は、政治そのものに絶望しつつあります。私たちは本当に、〈中央〉や権力者を忖度(そんたく)し、そのおこぼれをあずかる以外に、生きる道はないのでしょうか。私はそうは思いません。私が政治を通じて実現したいのは、これまで発する声が届かなかった地域や人々が、自分の足で立ち、自信をもって生きるための新たな希望をつくりだすことです。

人間らしい労働、貧困や暴力に脅かされない普通の暮らし、おだやかに安心して過ごすことのできる老後、そして子どもたちが笑っていられる未来。そんな誰もが望む「真に豊かな生活」をとりもどさなければなりません。

また新潟は、世界最大級の原発を抱え、長らく賛成派と反対派の分断を余儀なくされてきました。原発を巡るリスクと対立だけが新潟に残り、つくり出された恩恵を首都圏が消費するという根本的な矛盾に苛(さいな)まれてきました。福島の原発事故を経て県民の大多数が原発ゼロを求めている今、新エネルギーの可能性を大きく活かすことで両者の対立に終止符を打ち、共に笑い合える未来をつくる。私は、ここ新潟からそれを実現したいと考えています。さらに新潟は、どこよりも“独立自尊”の伝統を湛(たた)えた地域です。今から約100年前、理不尽と不平等に立ち上がった新潟の小作農の精神を若いころ書籍で知りました。それは私が実現したいと思う政治の道しるべです。私、うち越さくらは、ここ新潟に骨を埋(うず)め、政治に新しい希望をもたらすことで、その先人たちの列に加わってまいります。

以下、「真に豊かな生活をとりもどす」ための具体的な方策です。

①誰ひとり、取り残さない。――格差と差別のない社会へ

  • 子どもの貧困や教育格差をなくすために、子育て施策の充実や保育士の待遇改善、高校授業料の完全無償化、学力が伴わなくても親に頼れない子どもが利用できる給付型奨学金制度の確立、就学援助の充実や給食の無償化など、次世代に投資する政策を大胆に進めます。
  • 若者が希望の持てる将来像を描けるよう、目標を据えて確実に最低賃金を引上げていくなど、景気対策の柱となる実質賃金の向上を実現します。また、同一価値労働同一賃金の趣旨にのっとり、非正規労働者等に対する差別的待遇の転換を目指します。
  • 子育て世帯や若者が希望を持って安心して生活できるよう公的住宅費補助制度の充実や、若い夫婦などに特化した公営住宅の整備等を通じて、人口減少や少子化の是正を図ります。
  • 女性が真に活躍できる社会を実現するため選択的夫婦別姓を実現し、男女における賃金格差を解消すると共に、性暴力の禁止と被害者支援に向けた法整備を行います。
  • 「共に支え合う社会」を目指し、多様性を認める観点からLGBTに対するものをはじめ、すべての差別と社会の分断を許しません。さらに身体や心に障がいをもつ方々や日本で暮らす外国人に対して教育の機会や雇用、生活の安心を保障する枠組みを整備します。
  • あらゆる差別を禁止する法令や、手話言語法など社会の多様性を守るための法整備をすすめると共に、ヘイトスピーチ対策への取り組みを強化します。
  • 待機児童を解消し、病児保育、休日保育の充実などすべての子どもたちに保育・教育の機会を保障します。また、重労働に見合わぬ低賃金といわれる保育士等の処遇改善も同時に進めます
  • 虐待から子どもを守るために、公費による子どもの代理人制度を実現し、児童精神科医や児童心理の専門家を増員します。子どものオンブズマン制度を実現し、権利救済の仕組みを作ります。
  • 虐待やDVを繰り返さないための公的な「再発防止(加害者更生)プログラム」などの法整備を進めます。
  • 社会全体ですべての子どもの育ちを支援し、子どもの貧困、特に親から引き継がれる貧困の連鎖を断ち切ります。フードバンクや子ども食堂といった地域の取り組みに着目した子ども貧困対策推進法の拡充を目指し、その運用に貧困改善に向けた数値目標を設定します。

②地域経済を躍進させる。――持続可能で活力ある新潟へ

  • 近年、農村地域から人が減り、離農も続き、否応なく農地の集約化と大規模化が行われていますが、同時に耕作の放棄も増加しています。そんな中で進行するTPP11や日欧EPAなど過度な規制緩和・市場化推進の動きに反対します。
  • 農地が有する防災機能等を維持し、担い手の大部分となる兼業農家の経営を安定させるなど、わが国農業の基礎を支える政策である「農業者戸別所得補償制度」の復活を目指します。さらに地域特性にあった多様な農業の展開にむけた支援、多面的機能に着目した直接払いなどを通じて、やる気ある農業者を育成します。
  • 国土・自然環境の保全、技術や文化を継承していくためには綿々と続いてきた伝統的な農山漁村集落の維持発展が不可欠です。巨大消費地である東京や対岸の東アジア諸国と産地である新潟県の交流を促進することとにより、農山漁村のコミュニティを維持し特色ある生産を実現します。
  • 「種子」を守っていくことは、我が国の食料主権と消費者の安心安全及び国民共有の財産を守ることです。2018年に政府が廃止した「主要農産物種子法」の復活を目指します。
  • 急進的な農協改革に反対し、地域と生産者をつなぐ協同組合としてのJAグループの存在意義を十分踏まえ、社会的な役割に応じた支援を行っていきます。
  • 森林環境税の新設に合わせ、林道、作道の整備や木材産業との連携強化など林業分野に対する集中的施策の展開によって新潟の山を守り、林業従事者の確保と所得の向上を図ります。
  • 地域住民が、里山林の保全管理に関わり、森林・山村を観光資源として活用しつつ環境教育・体験活動の場とし、消費地である都市との交流を進める体制を整備します。
  • 水産業関係者自らが考え合意する「浜の活力再生プラン」の策定と実行を支援し、資源管理、生産基盤整備、流通・加工対策、魚価対策など水産業の課題に対応します。都市と漁村の交流を促し、活力ある集落を新潟各地に創出すると共に、漁業協同組合の機能強化を促進します。
  • 太陽光・小水力・風力発電、さらには新規ESCO事業や新世代地域熱供給事業など、新潟の潜在力を活かした再生可能エネルギー事業の複合的展開によって、新潟に多くの雇用を生み出します。
  • 産業分野の付加価値向上や産学連携、イノベーションの導入や起業支援など、本県経済の発展に欠かせない施策に対する国の関与を高めます。地域中小企業の人材確保のため、学生や若者を対象とした公的な住宅費補助制度の実現を目指します。
  • 生活道路や用排水路、中小河川といった生活に欠かせない公共財の日常的な補修や修繕事業を中心とした公共事業を、地域中小企業をパートナーとしてすすめ、地元建設業の経営安定と活性化を図ります。
  • 本年10月に予定されている消費税の引き上げに反対し、5%ポイント還元といった金持ち優遇で場当たり的な対策の撤回を目指します。さらに所得税の累進課税や給付付き税額控除の導入など総合的に税制を見直すことで、税の不公平感を解消し、社会福祉のための財源確保を図ります。

③本気の“原発ゼロ”に向き合う。―再生可能エネルギーによる新しい社会像へ

  • 国による原発政策が全く見えません。将来的に原発を続けるのか、廃止するかの議論すらされていません。原発ゼロはスローガンではなくリアリズムです。国における議論を通じて原発がなくとも日本経済が立ち行く未来を示します。
  • 原発ゼロに向け、再生可能エネルギーや省エネ技術の開発を進め、立地地域対策や使用済み核燃料の処分問題を含めた具体的な行程づくりを行います。
  • 農山漁村や山林をはじめとして、新潟には再生可能エネルギーの生産に好適な条件が多くあります。第一次産業と再生可能エネルギーの融合によって、エネルギーの地産地消、さらには地域でお金が回る「地域分散型ネットワーク社会」の実現を目指します。
  • 新潟県が進める「三つの検証」に基づき、安全で具体的な避難計画の策定支援や、迅速な被災者支援の法制化など国による関与が欠かせない分野を明らかにし、実行します。
  • 柏崎刈羽原発の再稼働は認められる現状にありません。耐用年数を過ぎた古い原子炉の廃炉計画の策定と先進的な技術の蓄積によって立地地域を再生させ、県経済を活性化させます。

④暮らしの安心・安全を確保する。――セーフティ・ネット社会へ

  • 独居の高齢者やひとり親世帯など経済的、社会的に孤立している人に対する生活支援を拡充し、社会的な見守りのネットワークを拡充します。
  • 医師、看護師らの地域偏在や診療科の偏在を解消し、国民健康保険料や医療費自己負担を抑制します。さらに医療・介護の現場で働く人々の処遇を改善することで、高齢者だけでなくあらゆる世代のセーフティ・ネットを強化します。
  • 老後の安心の根幹である公的年金を持続可能なものとし、公正、平等で国民に信頼される制度につくり替えていきます。
  • 予防医療の充実などにより健康寿命を延ばし、高齢者や子どもの居場所づくりやサークルや娯楽の提供等を通じて生きがいのある社会をつくります。
  • 長時間労働を規制し、過労死ゼロを目指します。誰もが「ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)」が可能な社会を実現し、望めば正社員になることのできる社会を目指します。
  • 忖度発言の基となる、公共事業の選定過程を透明化し、社会資本の円滑な維持管理・更新を進めます。災害の未然防止といったハード対策と合わせて、地域のコミュニティを活かした防災力の強化を支援します
  • 住民参加の下、コミュニティに欠かせない、きめの細かい地域公共交通を実現することにより、便利で安全な暮らしを実現します。
  • 悪質な詐欺的行為から生活者を守るため、消費生活センターなど行政機関の機能強化と消費者保護に資する法体系整備に取り組みます。
  • 国民の正しい政治判断の前提条件となる、嘘のない統計を目指します。森友学園・加計学園の疑惑などの徹底的な真相究明を行い、国家権力のメディアへの介入・規制に反対します。

⑤わが国の外交と防衛の未来像をしめす。――新時代の平和政策へ

  • 立憲主義に反する安保法の廃止を目指し、同法を前提とした現政権による憲法改定に反対し、平和主義を回復させます。
  • 我が国周辺の安全保障環境を直視し、専守防衛に徹した自衛力を着実に整備します。沖縄の民意を尊重し、辺野古の米軍新基地建設の強行には強く反対します。不平等極まる日米地位協定を見直し、日米関係の再構築を目指します。
  • 東アジアにおける平和と非核化の推進のために外交努力を尽くし、北朝鮮に対する経済制裁に加え、拉致事件解決に向けた対話の再開を目指します。
  • 防衛、治安に資すると称して現政権が成立させた特定秘密保護法、共謀罪法などは国民の知る権利や内心の自由等の人権を脅かしており、早期の廃止を目指します。
  • 非核三原則をこれからも堅持し、核兵器禁止条約の批准を目指します。国際協調主義に基づく人道支援等を-通じて世界各国との人的交流を拡充し、国民各層の相互理解を深めます。

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