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地に呪われたる者

 今、「フクシマ」を念頭に置きながら、フランツ・ファノンの『地に呪われたる者』を再読しています。
「地に呪われたる者」という日本語がの響きが、今のフクシマと共鳴するようです。
これはもちろん、ヨーロッパの植民地主義から、いかにアフリカを再生させるかという実践的なテーマで書かれた、もう半世紀近くも前の本ですが、ファノンが当時思い描いていたことは、まさに「今」の課題でもあると感じています。
彼が使う、「暴力」「民族」「革命」「大衆」などという手垢のついた言葉を、今一度「今」の文脈で読み替えることで、驚くほど新鮮な21世紀のメッセージとして読むことができるということに改めて気がつきました。
時代がかっていて、硬質で、パサパサと乾いた文章に、ひとたびナイフで切込みを入れたら、熱い鮮血が飛び出してきたという感じでしょうか。
実際、ファノンは、当のアフリカの革命指導者や今の若者や大衆に広く真面目に読まれてきたわけではありません。彼のヴィジョンは、現実にほとんど裏切られてきたし、顧みられてこなかったというのが事実に近いと思います。いわば、西欧のインテリが好んで持ち上げてきたにすぎない思想家なのかもしれません。彼の出自とも直結していると思いますが、彼の思想は一貫してマイノリティの方に属していたと思います。
けれども、今再び読み返すと、それが21世紀の新しい政治思想としてよみがえる可能性があることに気がつきます。彼が何度もくりかえす、「新しい人間」のイメージこそ、私が今考えている「新しい文明」のヒントになるのだと思っています。

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