フランツ・ファノン『地に呪われたる者』(みすず書房)より抜粋。
● セク・トゥーレ大統領がきわめて的確に指摘したのは、このことである。「思考の領域において、人間は己こそ世界の頭脳であると自負することもできる。だが、いっさいの(外部からの)干渉が肉体的精神的存在に影響を与えるところの具体的な生の見地よりすれば、世界こそ常に人間の頭脳なのだ。なぜならここ(世界)にこそ、思考力と思考する諸単位の全体があり、発展と完成のダイナミックな力が見出されるからだ。ここにおいてこそ、さまざまなエネルギーが融合し、ここにこそ最終的に人間の知的価値の総体が刻み込まれるからだ。」 (193頁)
● 植民地主義は他者の系統立った否定であり、他者に対して人類のいかなる属性も拒絶しようとする凶暴な決意であるがゆえに、それは被支配民族を追いつめて、「本当のところおれは何者か」という問いをたえず自分に提起させることになる。 (244頁)
地に呪われたる者 2
2011年7月26日