「3・11」の文脈で読み直すべき本はたくさんありますが、今日は、イヴァン・イリッチの『エネルギーと公正』(1974年)を再読しました。 冒頭には以下の文章があります。
エネルギー危機
エネルギー危機の切迫を強調することが最近の風潮である。このエネルギー危機という言いまわしは、ある矛盾を隠蔽し、ある幻想を神聖視する。それは、公正と産業の発展とをあわせて追求することに伴う矛盾をおおい隠し、機械の力が人力に際限なくとってかわりうるという幻想を擁護する。この矛盾を直視し、この幻想の本質をあばくために、是非しておかねばならないことがある。危機という言葉で曖昧になっている現実、すなわち、大量のエネルギーは必然的に自然環境を破壊するが、まったく等しく社会的な諸関係を退廃させるものだということを明らかにすることである。…
今からほぼ40年前に書かれたテキストですが、なんという的確さ、瑞々しさでしょう。
そしてこの40年という時間を思うとき、私たちは、本当に進歩するためにどれだけの時間を必要とするのか、ただ、ただ、ため息がでるという感じです。
イヴァン・イリッチ再読
2012年1月11日