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クリスマスイブに。

またしても、本当に久しぶりの投稿です。

本来は、進展する市民エネルギー事業のこと(特にデンマーク訪問について)、新潟県政のこと(何よりも検証委員会のこと)など、書かなければならない多くのことがあったのですが、スキップしてしまいました。ひとこと、公私とも「忙しかった」わけです。

 

今日は文字通りの完璧な「休日」。こんな日が以前いつあったのか思い出せません。ぜいたくにも、お昼まで布団から起き上がらず、本当に久しぶりに「寝切った」気分で、シャワーを浴び、買い物に出かけました。街は年の瀬のクリスマス気分。カップルや家族連れが目につきます。

 

私も一応50歳を過ぎ、半世紀以上生きたことになるので、いろいろと今になってわかることがあります。

子どものころ、まじめだけが取柄の私の両親は、クリスマスになると貧しいながらもおもちゃのようなクリスマスツリーを部屋に飾り、ケーキを買ってきたものでした。貧しいので、友だちに比べると貧相なプレゼントでしたが、朝目を覚ますと枕元に必ずプレゼントがありました。2DKの団地に5人の家族が住んでいたので何かと手狭なのですが、幸せでした。

 

「小市民」を絵にかいたような私の両親は、子どもを近くのキリスト教系の幼稚園に通わせ、クリスチャンでもないのに夜にお祈りをさせてから寝かしていました。クリスマスも、クリスチャンでもないのに、たいそう頑張って盛り上げていたのだと思います。おかげで、私もクリスチャンでもないのに、クリスマスの季節になると今でも胸が締め付けられるような甘酸っぱい思いになります。

 

年の瀬の、クリスマスの街は、小市民たちの祭典です。今夜は暖かい部屋で、愛する家族や恋人、友人たちと温かい料理を囲んで過ごす人たちがたくさんいるのでしょう。でも、いつも思うのですが、それ以外の人たちは今日をどんな思いで夜を過ごすのでしょう。今、東京で一人暮らしをする私の息子も、今夜はきっとアルバイトで夜を明かすか、一人狭い部屋でいつものように質素に過ごすのでしょう。今や日本人の約半分が単身世帯ですから、「典型的な」クリスマスの夜は、もう半分の人間にはまったく関係ないことなのかもしれません。先日の新聞で見たように、シングルマザーで「クリスマスなんか来ないほうが良い」と思っている人もたくさんいるでしょう。あるいはそれ以前に、風をしのぐ家もなくて、毎日とても不安で寒い思いの人も少なくないでしょう。

 

それにしても思うのは、何はともあれ私たちは、この70年以上、戦争に巻き込まれてこなかった、という事実です。私も含め、小市民たちが平和に生きてこられた。沖縄やアジアの人々に矛盾を押し付けたり、原発が爆発したり、猟奇的な犯罪が多くあったり、政治が腐敗したり、貧富の格差が拡大したりしても、ともかく、戦争はなかった。これは「戦後」を支えてきた先人たちに深く感謝するべきことかと思います。1966年生まれ団地育ちの私は、生まれも育ちも文字通りの小市民で、今でも小市民の味方です。クリスマスイブに家族のためにケンタッキーフライドチキンやケーキやプレゼントを買って帰る。この「特別な日」に街を歩く幸せそうな人たちを見て、こちらも特別な温かい気持ちになります。また、自分でも笑ってしまいますが、まるでウルトラ警備隊のように、この人々の小さな幸せをずっと守らなければならない!、などと思ったりもします。

 

けれども、クリスマスイブの夜は、どうしても別の記憶や気持ちも沸き起こってきます。

そういえば、もう早くに逝ってしまいましたが、子どものころキリスト教系の児童養護施設で育った私の友人は、毎年クリスマスになるとたくさんのプレセントをもって施設を訪れていました。本当にクリスチャンだったかわかりませんが、いつもは一人で寂しそうなのに、毎年この季節になると「メリークリスマス!」と嬉しそうに電話がかかってきました。また、寒い夜の街かどで一人、クリスマスイブの家々の灯を外から眺めていた、いつだったか、たしか若き新聞配達時代の記憶も蘇ります。

 

今年は、一番戦争に近いクリスマスだと思います。社会がますます非人間化し、「戦争になってしまえばよい」という憎悪のつぶやきすらもきこえてきます。でも、戦争だけはいけません。それは、小市民の醜悪さや矛盾を一夜のうちに解消できるかもしれませんが、無数の死や破壊のほかには何も生み出さないでしょう。私はどんなにフェイク(偽物)でも、この戦後の「平和」を擁護したいと思います。

 

来年は、<戦争や核を非合法化する>という、無数の犠牲の上に宣託された人類のまっとうな方向感覚を、いかに支え、強化できるのかが最大の課題になると思います。戦争に対しては、依然として全市民が「NO」と言えるだけの良心と理性はまだ残っていると信じています。どんなに堕落した平和でも、戦争よりはマシ。しかし、戦争を起こさないためには、平和を常に堕落から救い出す努力も必要です。

 

幸い今年のクリスマスイブは、雨雪が降らず、めずらしく穏やかな夜です。

クリスチャンではないのですが、すべての人に神の祝福があることを、心から祈ります。

 

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