またもや久しぶりの投稿です。原稿執筆や各種試験などをかいくぐり、ゼミの学生諸君と常夏のフィリピンを訪れました。
実は、フィリピンは初めてでした。ゼミ生にフィリピン出身のお母さんをもつ学生がいて、彼女がきっかけをつくってくれたのでした。彼女の実家で、レチョン(豚の丸焼き)をご馳走になったり、とても楽しい旅行になりましたが、このブログでは「サンチャゴ要塞(Fort Santiago)」について書き記しておきます。
言うまでもなく、フィリピンは、スペイン、アメリカ、日本に植民地化されてきたわけですが、この要塞は、いずれの国にも使用された要塞です。スペインの支配は、333年間にも及びました。写真のモニュメントは、日本軍に殺害された多くのフィリピンの人たちを悼むものです。日本の支配は3年ですが、本当に残酷なやり方で多くのフィリピン人を殺害しました。
そしてここは、フィリピンの革命家、ホセ・リサールがスペイン軍に幽閉され、殺害された場所でもあります。
それで、ホセ・リサールの記念館も設置されていました。
ここは、大国に翻弄されたフィリピンの歴史、そして「植民地主義」とは何か、を考えるためのとても重要な場所です。一緒に訪れた写真の学生は、スペイン人、フィリピン人、日本人のいずれにもルーツをもっており、ここで整理しきれない感情を抱えたようです。彼女は、民族差別と植民地主義の関係についてをテーマとした卒業論文を完成させました。彼女のような、いわば「境界人」こそ、来るべき新しい社会を生み出す可能性を秘めているのだと思います。若い世代が、歴史と出会い、新しい時代を切り拓いていく…。若い世代を信じたいと思います。
どんどんと、いわば「要塞化(fortification)」する現在の世界をいかに乗り越え、新しい「共生」の世界を創りだすことができるのか。再度、この最重要の課題を考えさせられました。