映画『博士の異常な愛情』で、ソ連の大使がアメリカとの「peace race(平和競争)」に疲れたことを吐露する台詞がありましたが、その台詞をぼくはずっと忘れることができませんでした。
「平和競争」ってなんだろう…。
ちょうど米ソ冷戦が朝鮮戦争をはさんでピークに達していたころ、ソ連は、オブニンスク原発の建設を開始しました(1951年9月)。世界初の原子力の「平和利用」の試みです。
これに負けじと、アメリカは有名な「Atoms for Peace」演説を行います(1953年12月)。
「平和」というシンボルをめぐって、両国はそれを核テクノロジーという手段で相争う。そのグロテスクな冷戦の一側面が、今私たちが生きる世界の条件を地下の奥深くで形作っています。
平和競争
2011年9月19日