12月22日付の『朝日新聞』によれば、中国広東省の烏坎村という村で、共産党地方幹部の腐敗に異議を申し立てた住民たちが自治組織を立ち上げ、それを今では共産党も「合法」と認めざるをえなくなっているとのことです。この記事に、大きな衝撃を受けました。
これで思い出したのが、かつて「共産主義」体制下のポーランドで、それに対抗する自立的な労働組合(「連帯」)が生成したという逆説的な歴史的事件です。その後のポーランドや東ヨーロッパで何が起きたのかを考えると、この小さなできごとは、看過できません。きっと当の中国共産党自体が、並みならぬ大きな関心をもってこの事態を見守っているのだと予想できます。
今回の新しい自治組織は、表だって今の中国共産党(中央)の支配自体を否定していませんし、安易な歴史的あてはめも事態を読み誤る原因になるのですが、かつて毛沢東率いる中国共産党が都市ではなくまさに農村で成長を遂げたという事実を思い起こすと、中国社会の地殻が地方から少しずつ変動しつつあるのではないかとも考えられます。
現在、東アジアの諸国家は、どの政権も軒並み弱体化しており、大きな政治的変動の予感がします。日本も含めて、クローバル化によって統治能力を減退させつつある政府と、他方でむき出しの世論政治が展開する構図の中で、「平和」を実現するための条件が少しずつやせ細っているように見えてなりません。
ただ、ニュースによれば、今回、共産党政治局で治安部門を統括する書記が、紛争を「草の根レベル」で「文明的手段」で解決するよう指示したということです。いうまでもなく、「文明的手段」とは、「非暴力的に」、ということです。 ここには、少なからず希望があります(東欧革命でも、非暴力はキーワードでした。それが「ビロード革命」と呼ばれた所以です)。
それゆえ、<非暴力>を東アジアの共通言語とすること。
来るべき大きな政治変動を予感する中で、たどり着いた当たり前の結論です。
中国――地殻変動の始まりか?
2011年12月23日