この6年余り、私が勤める大学で実践してきたことのひとつに、「国際交流インストラクター」の養成というプロジェクトがあります。
http://www.nuis.ac.jp/iuip/
これまでの大学教育の限界を感じ、学生が主体的に体を動かして自ら学び、また自己表現とコミュニケーションを重視するという新しいスタイルの授業を試みたのですが、予想以上に成果や反響が大きく、いつの間にかプロジェクト自体が成長進化を遂げていました。私の努力というより、この方法に共鳴した多くの人たちによるボランタリーな努力がどんどんと事業を推し進めていったという印象です。
要は、学生が、単に既存の知識を学習するのみならず、「ワークショップ」を行う「ファシリテーター」としての技術を学ぶことで、<知>を他者に「伝える」、あるいは他者と共に<知>を生み出す能力を養う試みなのですが、これは説明するより、具体例を観てもらったほうがいいかとも思います。
http://www.nuis.ac.jp/iuip/jigyou.html
http://www.nuis.ac.jp/iuip/work.html
最近、M.サンデル教授の対話型の授業方法が流行っていますが、それをもっと進めて、いわば、参加学生全員がサンデル教授になって授業をするというイメージです。
さて、これは広い意味での「市民教育(citizenship education)」であると私は思っています。知識は個人が所有し、他者と<競争>するためにあるのではなく、他者と<共同性>や<互恵関係>を形成するためのものであるということを、若者たちが身をもって経験すること。「ディベート」ではなく、他者の声を活かす方法で自らを<表現>する「民主主義的リーダーシップ」の能力を養うこと。
これらはいずれも、来るべき新しい文明社会に不可欠なものです。
近々、「新潟平和教育センター(仮称)」を立ち上げ、ワークショップによる市民教育の新しい可能性を追究してゆこうとも考えています。
新しい教育――ワークショップの可能性
2012年2月25日