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リスク社会

世界的な社会学者、U.ベックさんが1986年に「リスク社会」論を発表してから、ずっと注目してきました。 
世界は、「産業社会」から「リスク社会」へと、その原理を変えつつある。
目に見えないリスクを管理する専門家が大きな影響力(権力)をもつようになり、したがって、「対抗専門家」がデモクラシーにとって重要な役割を果たすようになる。
今、日本で日々展開しているのは、まさにこの「リスク社会」の論理が支配する世界だと思っています。
しかし、戦後の日本政治(もっと遡れば明治以来の日本)は、「産業国家」の論理でひたすら突き進んできました。そしてまた、ある程度それは「成功した」といえるのかもしれません。
けれども、今日本は、「リスク社会」への適応に決定的にたち遅れている。
安全や安全保障を、ひたすら他に依存し、思考停止してきたことが、今になってツケとしてわれわれにのしかかっています。
これからは、何事にもまして、「リスク」や安全の問題は自分たちで考えなければならない。安全保障や外交もまた、国家の専有事項ではなく、自治体や一般市民にとって重要な問題となっています。拙近著、『地方自治体の安全保障』(明石書店)をご参照ください。

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